巷で少しだけ噂になっている、E-inkと呼ばれるタブレット端末があります。浅学で申し訳ありませんが、このメディアを公開してから、初めて触れることになった技術となっています。
どうやら世間ではあまり普及していないので、そのせいで聞いたことがないのかもしれません。
しかし、こちらのE-inkと呼ばれる技術は年々と進歩をして発展しています。
今後の成長が期待される技術となっているので、それを含めて解説ができたらと思います。
E ink社について
E Ink社は電気泳動技術(ePaper based on Electrophoretic technology)の開発、電子ペーパーを供給するメーカーです。世界中の企業に電子ペーパーモジュールを提供し新製品開発、新規市場開拓をサポートしています。
市場にある多くの製品は、E Ink社の技術を用いて開発されています。
電子ペーパーについて
電子ペーパーとは、紙の長所とされる視野性や携帯性を保った表示媒体のうち、表示内容を電気的に書き換えられるものを言います。
1970年代に米国ゼロックス社のパロアルト研究所に所属していたニック・シェリドンがGyriconと呼ばれる最初の電子ペーパーを開発した。
E-inkや、電子ペーパー、e-paperとも呼ばれています。この3つは全て同じものを指しています。
出典: 電子ペーパー - Wikipedia
E-inkの特徴について
低消費電力
表示中に電力を消費しない、または極小となっています。書き換え時の消費電力も非常に少なくなっています。
応答速度
動画用途には向きませんが、電子粉粒体では液晶よりも高速です。
しかし、実際の応答速度は高くない。カラー表示についても限定的となっています。
高い視野性
紙と同じ様に反射光を利用して、表示を行うため、視野角が広く、直射日光に当たっても見易く、目に対する負担が少なくなっています。
暗所では別途、光源が必要となります。
薄く柔軟性がある
紙のように薄く作ることができます。
E-inkに使われている技術について
E-inkに使用されている技術には下記に書かれているものがある
・マイクロカプセル方式
・電子粉粒方式
・液晶方式
・エレクトロウェッティング方式
・電気泳動方式
・化学変化方式
代表的な技術としてはこれらが挙げられます。
この中でも代表的なものとしては、電気泳動方式は各社で使われています。下記でそれについて解説していきます。
電気泳動方式について
この電気泳動方式はアメリカのE ink社が開発した技術となっています。
流体を収めたマイクロカプセル中で白色と黒色の粒子を電界によって移動させることで白黒の色を表示させる技術です。
類似の技術としては、流体ではなく空中で、粒子を電界によって移動させる方式も存在しています。
構造としては、正と負に帯電した粒子を電極板の間に並べることで、制御回路から加わる電圧によって制御されています。
電極板の間に電界が生じることで、帯電した粒子が泳動することによって、表示面側に白黒で印字されます。
電圧がない状態であっても、顔料粒子は動きにくいので、印刷物の様に扱うことができます。これによって、画像保持の為の電気は必要としないため、書き換えなどでも消費電力が少なくて済みます。
電気泳動方式では、新聞紙などでは印刷出力された紙と比べても、遜色がない品質を保持できるそうです。
E-inkの欠点について
E-inkは広い視野性を持ち、白黒の活字印刷のようなコントラストの強いモノクローム表示については最適な表示ができます。しかしながら、白黒の中間調では単純な画像の保存に比べて2倍の時間がかかります。
結果としては、スクロール表示のような動作には向いていません。
カラーの表示についても、カラーフィルタを重ねることで実現しましたが、反射光の合成によって色を表現するので、暗い画面になることも欠点として挙げられます。
勝手に想像する最適な使用用途
論文を読む
私自身、E-inkを搭載したタブレット等を所持しているわけではないので、勝手に想像した使用用途を書いていこうと思います。
その一つに論文を読む用のタブレットとしての使用があります。
今の時代ですと、論文はPCで読むことが多く、紙に印刷して読むことは少ないと思います。また、タブレット端末の普及で、様々な便利なデジタルデバイスで文章を読むことができるようになりました。
タブレットで文字を読む、更に気になる部分に下線などを引く等、リアルタイムで編集点を考える事もできる大変便利なアイテムです。
テクノロジーの進化により文章を読む古典的な作業にも変革が訪れました。
私自身の古い感性ですので、本などの文章はできるだけ紙で読みたいと考えています。
紙を使った学習、タブレットを使った学習、それぞれメリット、デメリットがあると思います。使用感が気にならないのであれば、両方をいい具合に使用することもできると思います。
しかし、どうにもタブレットのような端末では、バックライトの違和感など、小さな影響の積み重ねで作業が捗らないとも感じています。おそらくはそれは人によると一蹴されるかもしれません。
でしたらE-inkタブレットはどうでしょうか?紙媒体と、タブレット端末。その間に存在している技術としては丁度良いのかもしれません。
最近ですと、紙媒体、タブレット、電子ペーパーでの学習の差等(タイトルは違いますが)についての論文も見かけるようになりました。
考える事、気になることは同じとも思いましが、論文の様にまとめられていると、スッキリと理解することができます。
E-inkのタブレットとしては、音楽の再生端末としても利用できるとも書かれています。更に、スピーカーにも力を入れた製品を開発している企業も存在しています。
だとすれば、本を読む音楽を聞くといった文化的な生産行動に特化した端末として電子ペーパーは優秀なのではとも考えられます。
アートデバイスとしての可能性
これも最近ですが、芸術の世界にもデジタル文化が普及してきています。画家が油絵の具でキャンバスに芸術を表現していた時代から大きく変化しました。浅い理解で申し訳ありませんが、紙から電子へ移り変わることで、紙から、パソコンへと進化しています。
芸術の世界では、E-inkの技術を用いたアートが出てきても可笑しくないと考えています。既に存在していたのであれば申し訳ないです。
専門分野ではないので言及することはできませんが、道具そのものに芸術性を付加させるのであれば、電子ペーパーデバイスで描かれた『絵画』のようなものにも価値が生まれるかもしれません。
白黒で表現をする、カラー表示が難しい、コントラストが強ければ強い程解像度が増加する等、作られた縛りの中で表現するために必要なルールが作られているとも思っています。
私が知らないだけで、E-inkアーティスト、E-inkアートと呼ばれている芸術は既に存在しているのかもしれません。