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自宅で使えるお手軽計測器

公開日:2021/09/19 07:30

カテゴリー:コラム

自宅で図る、測る、計る

何か物を作りたい、そんな時に必要なのが計測器です。計画として図ったら、次は作る過程で何かしら計る、または測る必要があるでしょう。定規ぐらいならどの家にもあるでしょうが、テスター、マルチメーターとなると限られてくるとはいえ、持っている方もいるかもしれません。しかし、オシロスコープ、アナライザとなると自宅で所持している方はほとんどいないと思います。また、こうした測定器を使う際は、電源はともかくファンクションジェネレータも必要でしょう。
最近ではこれらの機能を搭載しつつ、小型で安価なデバイスが登場しています。今回は自宅で小さな実験室が作れる、そんな小型の計測デバイスをいくつか紹介したいと思います。

Digilent, Analog Discovery 2

初めに、Digilent社が提供するAnalog Discovery 2を紹介します。Analog Discovery 2はFPGAで構成された計測ボードで、ピンヘッダより様々な信号を入出力することが可能です。専用のアダプタを使用することで、BNCコネクタを用いてオシロスコープとして使用したり、インピーダンスアナライザとして使うことも可能です。
BNCアダプタ使用時のオシロスコープの性能は2ch、100MS/s(サンプル毎秒)、帯域は30MHzと、お手軽計測機としては十分な性能です。分解能は14bitで一般的な低価格オシロスコープよりも詳細に表示することが可能です。実験レポートなどに波形画像を用いる場合に適しています。

計測や信号コントロールはPCとUSBケーブルで接続して行います。ソフトフェアは、Digilentから無料、オープンソースで配布されているWaveFormsを使用します。WaveFormsは、Windows、MacOS、Linuxに対応しています。Linuxで使用する場合はx86の他にARMにも一部対応しているため、動作条件をよく確認しましょう。

WaveForms

アナログ・デバイセズ, ADALM2000

続いてアナログ・デバイセズのADALM2000です。ADALM2000は、アナログ・デバイセズがアクティブラーニング用に提供しているキットです。ピン配置がAnalog Discovery 2と同じ配置となっており、モジュール等はある程度互換性があります。
オシロスコープの性能は、2ch、100MS/s、帯域は25MHz、分解能は12bitと、ADALM2000もお手軽計測機として十分な性能でしょう。Analog Discovery 2と比較して、少し性能が劣るようにも感じますが、その分価格も安価で販売されています。

ADALM2000も同様にPCにUSBケーブルで接続して使用します。また、本機種の特徴として、LAN及びWi-Fiに対応しています。
ソフトフェアはアナログ・デバイセズから無料で配布されているScopyが利用可能です。

Scopy

Red Pitaya, @HOMEキット

最後に一風変わったのが、Red Pitayaの@HOMEキットです。@HOMEキットについては以前にも紹介しているので、併せてご覧ください。


@HOMEキットは、Raspberry PiのようにSDカードにOSをインストールして使用するSBC(シングルボードコンピュータ)で、ハードウェア側には初めから同軸コネクタが搭載されています。基本的にはイーサネット接続を介して計測を行うため、LANネットワーク上でPCやモバイル端末など様々なデバイスを通じて使えるのが特徴です。
 
オシロスコープ使用時などの入力時の性能はベースモデルのSTEMlab 125-10の場合、2ch、125MS/s、帯域は30MHz、分解能は10bit、帯域は50MHzとなっています。

ソフトフェアはこちらからダウンロード可能です。