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最大45W/150WのAC-DC電力変換が可能なGaN半導体ソリューションをSTマイクロエレクトロニクスが発表

公開日:2021/09/14 13:21

カテゴリー:記事

STマイクロエレクトロニクスはシリコン・ベースのハーフブリッジ・ゲート・ドライバと、2つのGaN(窒化ガリウム)パワートランジスタを集積した、システム・イン・パッケージ(SiP)を「MasterGaN®」に、最大45Wのアプリケーション向けの「MasterGaN3*」、最大150W向けの「MasterGaN5」を追加した。これらのSiPは世界初となっている。

近年では、モバイルデバイスなどで、USB PDなどにより、従来と比較して30Wや45W以上の充電器が増え、大電力化に伴い充電器も大型化していたが、パワーエレクトロニクスの発展に伴い、GaN(窒化ガリウム)パワー・トラジスタが注目されている。

MasterGaNファミリー製品は、GaN半導体により、パワースイッチング、充電回路、DC-DC変換など、従来では複数の素子で構成されるような機能を一つのデバイスにしたソリューションで、同製品を採用することにより、小型化や高効率化を狙いるのが特徴である。

65W〜400Wまでを対象としているMasterファミリー製品に新しくMasterGaN3、MasterGaN5が追加された事で、スイッチング電源、充電器、アダプタ、高力率変換回路(PFC)、DC-DCコンバータ等をさらに幅広く設計することが可能となった。

MasterGaNについて

従来のMOSFETからワイド・バンドギャップ半導体である、GaN技術のへの移行を簡略化することができる。安全性を向上させる保護回路を集積し、最適化された高電圧ゲート・ドライバを搭載することで、ゲート・ドライバ、回路レイアウトの設計における課題等に寄与することができる。
シリコン・ベースの設計と比較した場合、GaNトランジスタの高いスイッチング周波数により電源を最大80%小型化することができ、優れた堅牢性と信頼性を実現している。

MasterGaN3に搭載されている非対称型GaNトランジスタは、それぞれオン抵抗(Rds(on))が225mΩと450mΩとなっており、ではMasterGaN5に搭載されたGaNトランジスタのオン抵抗はいずれも450mΩで、スイッチング損失が少ない。

MasterGaN3およびMasterGaN5用の開発ボード「EVALMASTERGAN3」「EVALMASTERGAN5」も提供されているので、すぐに電源の開発を開始することができる。これらの開発ボードには、単一または相補型の駆動信号を生成する回路が搭載されており、調整可能なデッドタイム・ジェネレータ、個別の入力信号、PWM信号の入力端子、容量性の負荷に必要な外付けのブートストラップ・ダイオード用コネクタ、ピーク電流モード・トポロジ用のローサイド・シャント抵抗挿入用のコネクタなども搭載されている。
MasterGaN3およびMasterGaN5はGQFNパッケージでの提供となる。

他のMasterGaN製品と同様に、両製品のロジック入力は3.3V〜15Vの信号と互換性があるため、マイクロコントローラやDSPユニット、FPGAなどのコントローラ、およびホール・センサといった外付け部品に簡単に接続が可能。また、ローサイドおよびハイサイドの減電圧ロックアウト(UVLO)、ゲート・ドライバのインターロック、過熱保護、シャットダウン端子などの保護機能を内蔵している。