世界最大の電子部品在庫を有しているDigi-Key Electronicsが高電圧パワー変換向け半導体技術のイノベーションをリードするPower Instegrationと協力して、PowiGaN™テクノロジーを使用したInnoSwitch™3 ICを提供すると発表しました。
InnoSwitch™シリーズを採用した製品として、Ankerのモバイル充電器「Anker Nano II」シリーズが挙げられます。
PowiGaNについて
PowiGaNはコンシューマ、産業アプリケーション向けに優れた性能を提供し、消費電力を大幅に低減できます。
スマートデバイスやパワーオートメーションの使用が増加しているアプリケーション業界では、熱体制に優れた高効率な技術に対する需要が増加しています。それらの要望に答えるために、窒化ガリウム(GaN)による、シリコンの代替化が進んでいます。
独自に開発された、PowiGaNの採用によって、全負荷範囲に渡り、95%の効率を達成して100Wにも関わらずヒートシンクを必要とせず、密閉アダプタの実装によって、最大100Wを実現する事が可能となっています。
給電として使う場合、USB PD(power delivery)やQC(Quick Charge)のプロトコルに対応しています。
また、プログラマブルにコントロールするために、3.6Vで動作するMCUを搭載しています。
コントロールには、I2C通信で操作可能です。マイコン等での操作が可能なので、実験用途にも使えそうです。サンプル回路もデータシートに掲載されているため、USB PCについて理解を深めたい場合に採用するのも良いでしょう。
保護機能として、入力電圧対して、出力電圧が足りない場合や出力電圧が超えてしまった場合などを監視するモニタリング機能や、ヒステリシスなサーマルシャットダウン機能を搭載しています。
ほかにもモバイルへのダイレクトチャージ対応や、複数の種類の化学電池への充電を機能的にサポートしているのが特徴です。
こちらの製品は日本ではDigi-Keyの通販サイト、または、RSコンポーネント、マウザー・エレクトロニクスの通販サイトで購入可能となっています。購入は一個からの購入が可能となっています。
Anker Nano IIへの採用
Ankerと言えばケーブルや充電器といったモバイル向けの製品でよく見かけるメーカーですが、Anker Nano IIには、InnoSwitchシリーズのICが採用されています。
USB Type-Cの登場によって、コネクタを汎用的に利用できる機会が増え、USB PDなどのプロトコルによってマルチデバイスへの充電が現実的になりました。そのため、最近ではスマートフォンやタブレット、ノートPCの充電を同じ充電器で充電することも可能ですが、ノートPCは充電に必要な電力が大きく、放熱などの観点から小型の充電器では出力が足りず充電できないことがほとんどでした。近年では、パワーエレクトロニクスの発展に伴い、低発熱や高効率で使うことが狙える窒化ガリウム半導体の登場に伴い、小型の充電器でも比較的大きな電力での充電に対応する充電器が数多く登場しています。
Anker Nano IIもその一つで、シリーズには30W、45W、65Wの充電に対応しながらも、サイコロ型のコンパクトな設計となっています。
65Wの充電に対応しながらも、ここまでコンパクトな充電器は現在でも珍しく、InnoSwitchシリーズのICを採用が製品の実現を可能にしたものと思われます。